YOSHIの青春歌謡曲!!

〜青春時代に聴いた宝物の再発見〜

~幻の岬?となった名デビュー曲~おもいで岬/新沼謙治(1976年2月)

f:id:YOSHI88:20191008184521j:plain

1976年2月1日にリリースされた新沼謙治のデビュー・シングル。

 

新沼謙治は、岩手県大船渡市出身。左官屋の経歴を持ち、日本テレビ系オーディション番組「スター誕生!」に5度目の挑戦でようやく合格して歌手デビューを果たした苦労人。芸能コースのある堀越学園に通学していた他のアイドル歌手とは一味も二味も違う。普段は訛り丸出しの東北弁でぼそぼそと喋るが、歌になると一変して、安定感のある堂々とした歌いっぷりになる…このギャップが印象的だった。

 

デビュー後は、2ndシングル「嫁に来ないか」がヒットし、第18回日本レコード大賞新人賞を受賞し、NHK紅白歌合戦にも初出場。このため、「嫁に来ないか」が新沼謙治のデビュー曲だと思っている人も多いようだ。

 

「おもいで岬」の作詞は「スター誕生!」の審査員だった阿久悠。作曲は、由紀さおり「手紙」、夏木マリ「絹の靴下」、金井克子「他人の関係」、布施明「積木の部屋」、岩崎宏美「熱帯魚」などのインパクトあるヒット曲を提供した川口真。

 

歌詞は4番まであり、北の岬の「春夏秋冬」の情景が綴られた阿久悠の歌詞が叙情的で美しい旋律の川口真の曲と良くマッチしている。

 

作詞:阿久悠

作曲:川口真

「春はたき火の 燃えのこり消えた流氷 とぶ鴎

酒を片手の 親父らが 顔をゆるめる 口ずさむ

北の岬は 今もなお 忘れられない 忘れられない おもいで岬

 

夏は真赤な ハマナスが 夜に人待つ 虫も鳴く

人目しのんで 若い衆が 肌を寄せ合う 月の下

北の岬は 今もなお 忘れられない 忘れられない おもいで岬

 

秋ははやばや 色づいて 風の音する すすり泣く

酒が恋しい 人恋し 手紙ばかりを 書く夜ふけ

北の岬は 今もなお 忘れられない 忘れられない おもいで岬

 

冬はたずねる 人もなく白い灯台 ただ一つ

耐えてしのんで 船のりが 行方たずねる 目をはらす

北の岬は 今もなお 忘れられない 忘れられない おもいで岬」

 

わずか4分程度の時間で、北の岬の一年の季節の移ろいが味わえる(ただし、動画では、時間の関係で、春と冬のみの歌詞となっている)。

 

歌詞には「北の岬」とあるだけで、具体的な地名は出てこないが、「流氷」とあるので、北海道のオホーツク海沿岸の岬か?

 

「おもいで岬」は、オリコンチャート最高38位。新人歌手のデビュー曲としてはまずまずの好スタートを切ったと言えるのではないだろうか?飛躍のきっかけとなった次曲の「嫁に来ないか」でかなり上位に食い込んだのではないかと調べてみると、これが意外や31位とそれほど変わっていない!

 

当時の売れ行きはそれほど変わらないのに、「嫁に来ないか」が新沼謙治の代表曲またはデビュー曲(?)として現在でもテレビで盛んに歌われている一方で、「おもいで岬」の方はほとんど聞いたことがない。いつのまにか誰も知らない幻の岬となってしまったのか??(笑)

 


新沼謙治「おもいで岬」

〜三億円事件犯人の時効成立直前の心境??~時の過ぎゆくままに/沢田研二(1975年8月)

f:id:YOSHI88:20190408225323j:plain

フランスでヒットした「パリにひとり」に続いて75年8月21日に発売されたジュリーこと沢田研二の14枚目シングル(作詞:阿久悠、作曲:大野克夫)。5週連続1位、年間チャート4位と自身最大のヒット曲となった。

 

この曲は、戦後の未解決事件として最も有名な三億円事件(68年12月10日発生)をモチーフとしてジュリーが犯人役の主人公を演じたドラマ「悪魔のようなあいつ」(TBS系で75年6月6日から同年9月26日まで放送)の主題歌だったらしい。(このドラマが放送されていた当時はTBSが放映されない地域に住んでいたので、残念ながらこのドラマは見ていない。)

 

ドラマは、実際の事件の時効(1975年12月10日)まで半年に迫った時点から始まり、各回の終わりに「三億円事件 時効まで あと○○日」というテロップが表示され、実際の事件とリンクした展開で進んでいったようだ。だが、曲の大ヒットとは正反対にドラマの視聴率は低迷し、本来は時効の直前まで続く予定だったのが、時効が成立する三ヶ月程前の「時効まであと75日」のテロップで最終回となった模様。

 

作詞と作曲の担当については、当時「時間ですよ」シリーズなどの名作を手がけていたTBSテレビの演出家久世光彦がまず阿久悠に沢田主演のドラマの主題歌の作詞を依頼。次に、阿久の詞に対して、大野克夫井上堯之井上大輔加瀬邦彦荒木一郎、都倉俊一の6人にコンペで曲を競わせ、久世の判断で大野の曲が選ばれることになったようだ。

 

6人が提供した曲の中では、大野の曲が一番ドラマのイメージや阿久悠の詞に合っていたのだろうか?コンペに参加したこれらの超豪華な作曲家のメンバーから選ばれた曲なら、ヒットして当然か。。

 

作詞:阿久悠

作曲:大野克夫

「あなたはすっかり疲れてしまい  生きてることさえいやだと泣いた

こわれたピアノで 想い出の唄  片手で弾いては 溜息ついた

 

時の過ぎゆくままにこの身をまかせ  男と女が ただよいながら

堕ちて行くのも 幸せだよと  二人冷たい 身体合わせる

 

身体の傷なら 直せるけれど  心の痛手は いやせはしない

小指にくいこむ 指輪を見つめ  あなたは昔を 想って泣いた

 

※時の過ぎゆくままにこの身をまかせ  男と女が ただよいながら

もしも二人が愛するならば  窓の景色も変わってゆくだろう※

(※くりかえし)」

 

退廃的な雰囲気の歌詞の内容と共に、動画での沢田研二は、男の色気を感じさせつつも、どこか儚げで、気だるく妖しげな表情。

 

♫あなたはすっかり疲れてしまい  生きてることさえいやだと泣いた♫

♫時の過ぎゆくままにこの身をまかせ  男と女が ただよいながら

堕ちて行くのも 幸せだよと  二人冷たい 身体合わせる♫

 

歌詞が何とも意味深に思えてくる。

三億円事件の本当の犯人は、堕落した人生を罪悪感に苛まれながら過ごしつつも、この歌詞のように時の過ぎ行くままにこの身をまかせて、実際の時効完成の日を迎えたのだろうか……

 


沢田研二「時の過ぎゆくままに」

〜天地真理のサマーソングとの意外な関連性~太陽の日曜日/荒川務(1974年6月)

f:id:YOSHI88:20190826124746j:plain

74年6月10日発売のデビュー曲「太陽の日曜日」で、荒川務は、日本レコード大賞新人賞を受賞(なお、この年、浅野ゆう子城みちるテレサ・テン、西川峰子らも同時に新人賞を受賞している)。

 

74年と言えば、400組もの新人歌手・アーティストがデビューした空前の戦国時代。太田裕美伊藤咲子あいざき進也アルフィー、イルカなどの現在も活躍中の実力派もこの年にデビューしている。

 

「太陽の日曜日」の曲は当時から良く口ずさんでいたが、荒川務が歌番組に出演していた記憶は全くなく、むしろオールスター大運動会の走り高跳びで活躍したことの記憶だけがしっかりと残っている(笑)。

 

前回、天地真理の「恋と海とTシャツと」の作詞が安井かずみであることを紹介したが、その記事を書いている途中に、荒川務の「太陽の日曜日」の作詞も確か安井かずみだったよな、と思い出した。

 

調べてみると、「太陽の日曜日」の発売日は74年6月10日で、「恋と海とTシャツと」の発売日(74年6月1日)と、ほぼ同時期。

 

作詞:安井 かずみ

作曲:都倉 俊一

「あとからおいでよ 君も

皆んなで 集まる まぶしい太陽だよ 

今日は日曜日

一・二の三・四で 海に

皆んなで 駆け出すまぶしい砂浜だよ 

今日は休みだよ!

海は友だちさ 風は恋人 今の僕には

波を追いかけて ぬれたシャツなら

裸になろう

いつか たった一度 見た きれいな人

感じた恋のはじまり僕の胸に忘れられなくて

ヘヘイ 君のこと!

 

あとからおいでよ 君も

友達 来てるよまぶしい太陽だよ 

今日は日曜日

一・二の三・四で 誰が

一番早いか まぶしい砂浜だよ

今日は 休みだよ!

 真赤なギターを 弾いてうたえば 僕の心に

おぼえたての歌 なぜか切ない

初恋の海

いつかたった 一度 見た きれいな人

感じた恋のはじまり僕の胸に忘れられなくて

ヘヘイ 君のこと!」

 

歌詞には、太陽、海、砂浜、風、波、シャツなどの夏鉄板ワードが多数出てくる。一方、「恋と海とTシャツと」の歌詞も、太陽が「お陽さま」となっているが、海、砂浜、潮風、波、Tシャツが登場し、確かに良く似ている。同じ作詞家なので、似ていても全く問題はないが、安井かずみは、同じ時期に同じ情景をイメージにして2曲を同時並行的に作ったのではないか。

 

ただし、同じ夏定番の情景でも、「恋と海とTシャツと」は、恋にときめく乙女心をモチーフとしているのに対して、「太陽の日曜日」は、甘酸っぱく切ない初恋のティストをさらりと織り込んでいる。男性アイドル歌手のデビュー曲のテーマとして相応しく仕上げており、流石は安井かずみである。

 

歌詞の最後の「ヘヘイ 君のこと!」

特に意味は無いが、何故か印象に残るフレーズ。

「恋と海とTシャツと」の「あまりに恋が シャララ 素敵だから」のシャララの歌詞もまた然り。

 

それと、曲のタイトルだが、安井かずみ作詞の曲には、「日曜日」以外にも、「おしゃれな土曜日」(ミミ萩原:73年10月発売)や「危ない土曜日」(キャンディーズ:74年4月発売)など74年前後に発売された「土曜日」をタイトルとしたものもある。

 

こうして、全く違う曲同士に共通点を見つけると、何か宝物を発見したような気分になる(笑)


荒川務「太陽の日曜日」

~「恋する夏の日」以上の名曲?~恋と海とTシャツと/天地真理(1974年6月)

f:id:YOSHI88:20190925003443j:plain

 

74年6月1日発売の天地真理10枚目のシングル。

 

デビュー曲でいきなり大ヒットした「水色の恋」(71年10月発売)以降、74年末までの3年間に「ちいさな恋」「ひとりじゃないの」「虹をわたって」「ふたりの日曜日」「若葉のささやき」「恋する夏の日」「空いっぱいの幸せ」「恋人たちの港」「恋と海とTシャツと」「想い出のセレナーデ」とビッグヒットを連発し、「白雪姫」として国民的アイドとなった天地真理

 

老若男女を問わず幅広い年齢層に支持された当時の人気は凄まじく、下敷きやトランプ、人形などのキャラクターグッズが飛ぶように売れ、さらには当時25000円もした子供用のまりちゃん自転車まで発売されたという。同じく71年に歌手デビューした南沙織(現・写真家篠山紀信夫人)、小柳ルミ子(現在はサッカー解説者?(笑))とともに『三人娘』と呼ばれたが、当時の人気度は天地真理がダントツだったように記憶している。この頃の天地真理の大ブームを知っているのは50代後半よりも年上の人だろう。ピンクレディー全盛期の日本中の熱狂的な状況に近いと言えばもう少し下の世代の人も分かるだろうか。

 

上記のヒット曲のうち、「ちいさな恋」「ひとりじゃないの」「虹をわたって」「若葉のささやき」「恋する夏の日」の5曲がオリコンシングルチャートで1位を獲得。これらのヒット曲の多くは、作詞が山上路夫、作曲が森田公一

 

今回紹介する「恋と海とTシャツと」は、73年夏の大ヒットソング「恋する夏の日」の翌年のサマーソング。天地真理人気にもやや陰りが見え始めた頃で、初のオリコン1位を獲得した「ちいさな恋」以来、久しぶりに人気作詞家・安井かずみが作詞を担当した。作曲は森田公一の続投だったが、イントロのメロディなど、「恋する夏の日」を明らかに意識した作りとなっている。オリコン最高8位、売上15万枚のスマッシュヒットに留まったが、個人的には、「恋する夏の日」以上の名曲だと思う。

 

夏のテニスコートを舞台とした「恋する夏の日」に対して、「恋と海とTシャツと」は、海、砂浜、波、潮風、青空などの夏定番の情景に、恋する乙女心を重ねた高揚感を覚える作品。

 

作詞:安井 かずみ

作曲:森田公一

「横じまTシャツをまねして 

あの人のことが好きよ

先回りして この砂浜

いたずら書きなら 波よ 消さないで

 

あの人が来ないうちに

わたしのこの気持ちを今

潮風と相談 聞いてよ 光る波

あまりに恋が シャララ 素敵だから

 

麦わら帽子みて あの人

わたしをすぐにわかるわ

うれしくて 早起きしたから

お陽さまがきれい 砂がまぶしいの

 

※あの人が来ないうちに

わたしのこの気持ちを今

白い雲にのせて 青空にみせたい

あまりに恋が シャララ 素敵だから※

 

(※くり返し)」

 

ちょっとシャイな主人公の彼女、彼が来る前に自分の恋する気持ちを一瞬だけでも留めておきたいと、

砂浜への「LOVE」の落書きや、青空の広大なキャンバスに白い雲の絵の具を使った♡ペイント、波音に紛れての「好き」の絶唱etc…

そんな夏の海辺周りの自然を利用して恋愛メッセージを送ろうとする彼女のときめき感、ワクワク感を綴った安井かずみの歌詞に、森田公一の屈託のない明るいサウンドが上手くマッチングしている。

 

この曲を歌っている真理ちゃんは、思わずガッツポーズが出るほど楽しく嬉しそう。「恋する夏の日」を歌っていたときのような作られた笑顔ではない、本来の自然な笑顔ではないだろうか。。。

 


天地 真理「恋と海とTシャツと」

 

〜隠れた名曲の隠れた作曲家?!〜今夜は気取って/布施明(1978年3月)

f:id:YOSHI88:20190803093001j:plain

78年3月10日に発売された布施明の41枚目のシングル。

布施明と言えば、彫りの深いハンサムなルックスとともに、伸びやかで豊かな声量の持ち主で歌唱力の評価が非常に高い実力派歌手。

 

霧の摩周湖」(66年12月発売)「愛の園」(68年4月)「愛は不死鳥」(70年4月)「そっとおやすみ」(70月7月)「積み木の部屋」(74年3月)「シクラメンのかほり」(75年4月)「傾いた道しるべ」(75年10月)「君は薔薇より美しい」(79年1月)「恋のサバイバル」(79年5月)等、10年以上にわたってヒット曲も数多い。

 

でも、今回紹介するのは、そんなヒット曲ではなく、隠れた名曲とも言える「今夜は気取って」(78年3月発売)

 

作詞は布施明本人、作曲は、ロバート・ヒューズ、編曲は80年代に作曲家として頭角を現す前の林哲司。作詞と編曲は良いとして、作曲のロバート・ヒューズ、聞いたこと無いけど誰、それ??

 

「恋のサバイバル」のように洋楽のカバーなら、「作詞」布施明ではなく、「日本語訳詞」布施明とかになる筈だが……それとも布施明がロバート・ヒューズなる無名の人物と特に親交があって作曲を頼んだのか?……

 

気になってネットで調べてみると、面白い事が分かった。なんと、「ロバート・ヒューズ=布施明」説があるのだ!布施(fuse)を英語風に読むとヒューズになるという。。なるほど、それなら納得がいく。でも、何故わざわざ、そんな暗号めいた表記を使ったのか、謎は残るが(笑)

 

作詞作曲共に布施明本人らしいとして、曲の中身に入ろう。

この曲は、何と言ってもサビの部分の「貴女はいつも輝いていて欲しい それがうわ気な男の望みさ」の部分が強く心に残っている。彼女を振った主人公の彼が、彼女を気遣い、失恋を糧にしてより輝く女性になって、お似合いの人を見つけて欲しいと彼女にエールを送る内容。

 

作詞:布施明

作曲:ロバート・ヒューズ

編曲:林哲司

「別れに貴女(あなた)は僕に ほほえんで見せたね

強い女(ひと)だね貴女は 心かくして

あいつが言っていたよ あの夜の貴女を

泣き通しだったってね あのお店で

貴女はいつも輝いていて欲しい

それがうわ気な男の望みさ

今夜はコサージュつけて 出かけてみたらいい

貴女に似合いの人と めぐり逢うかも

 

古い写真のように 色あせた時間は

勝手に捨てておくれ 時の流れに

貴女の涙を僕は 知らないでいたけど

この部屋のあちらこちらに 落ちてるようで

貴女はいつも輝いていて欲しい

涙が真珠に変ってゆくように

こんなことってあるかよ 捨てたはずのこの僕に

夜ごと思い出だけが 酒のつまみさ

 

貴女はいつも輝いていて欲しい

それがうわ気な男の望みさ」

 

この曲に出てくる主人公の男性は、一見カッコよく、布施明本人とダブって見える。彼女を度々泣かせたそんな過去の出来事はキッパリ捨て去り、輝く女性になって新しい彼を見つけて欲しいと彼女を励ます、絵になる男。だがしかし、本当は、彼女の事を忘れられずに、毎晩独りで酒を飲みながらメソメソと彼女との思い出に浸っているトホホな男(笑)。

この曲の世界は、作詞した布施明自身の恋愛観や女性経験に基づくものかも知れない。

 

アップした動画の40年前の布施明は、コサージュを付けてカッコよく決めている。

この頃は、西城秀樹沢田研二らと同じく「夜のヒットスタジオ」の常連だったが、司会者井上順や芳村真理との曲前トークでは彼らとは一味違う独特の雰囲気を出している。特に、井上順に脚の短さを再三からかわれる短足いじられキャラ。。。このキャラは野口五郎とばかり思っていたが、この頃は、布施明だったんだ!?(笑)

 


布施明「今夜は気取って」

 

 

 

〜あなたの住む街まで飛行操縦困難??〜アテンションプリーズ/能瀬慶子(1979年1月)

f:id:YOSHI88:20190727113502j:plain

79年1月5日発売の能瀬慶子のデビュー曲。

 

能瀬慶子は、第3回ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを獲得して、15歳でデビュー(ちなみに、第1回のグランプリは榊原郁恵)

 

しかし、取り立てて可愛い訳でも、歌が上手い訳でもない。どこにでも居そうな普通の垢抜けていない女の子。何故グランプリを取れたのか不思議で仕方がない(笑)。

 

これに対し、この曲を担当した作詞作曲陣が超豪華!!

作詞は、かぐや姫の「神田川」「赤ちょうちん」「妹」、キャンディーズの「やさしい悪魔」「暑中お見舞い申し上げます」「アン・ドゥ・トロワ」、中村雅俊の「いつか街で会ったなら」等のヒット曲を手掛けた有名作詞家喜多條忠(まこと)。

作曲は、「風を感じて」「悲しみは雪のように」「J.BOY」等のヒット曲で知られるシンガーソングライターの浜田省吾(ハマショー)

 

爽やかなメロディーとシンプルで口ずさみ易い歌詞、良く出来上がったアレンジ等、アイドル歌手のデビュー曲としてはなかなか高レベル!!

作詞:喜多條忠

作曲:浜田省吾

編曲:船山基紀

「土曜日の闇の中 光の帯をひいて

あなたの住む街まで アテンション・プリーズ

 ひきかえすことなんか私もう できません

あなたの胸にまっすぐ アテンション・プリーズ

 キラキラゆれる 街あかり あなたの待つエアポート

急いで急いで翼よ

 I'm flying, flying to you 体ごと 心ごと

I'm flying, flying to you あなたにあずけます

 

オリオン星のいわれ 話してあげたくて

あなたの住む街まで アテンション・プリーズ

 涙こらえたくても なぜかもう止まらない

あなたの胸にまっすぐ アテンション・プリーズ

 やさしいほほえみ下さい タラップ 降りるのも

フラフラ フラフラ もどかしく

 ※I'm flying, flying to you 体ごと 心ごと

I'm flying, flying to you 私をうけとめて※

(※くり返し)

どうか私をうけとめて」

 

「土曜日の闇の中 光の帯をひいて あなたの住む街まで アテンション・プリーズ」

        この曲自体は発売当時から良く知っていたが、作曲がハマショーと知ったのはつい最近。言われてみると、この辺りのメロディーはハマショーらしい。

この歌詞を聴くと、喜多條忠が作詞したキャンディーズの「暑中お見舞い申し上げます」の「なぜか パラソルにつかまりあなたの 街まで飛べそうです」の部分を想起させる。

 

「キラキラゆれる 街あかり あなたの待つエアポート 急いで急いで翼よ」

旅先の異国の空港へ深夜着陸する間際は、こんな感じか…

 

「I'm flying, flying to you 体ごと 心ごと I'm flying, flying to you あなたにあずけます」

    サビの部分の歌詞はシンプルで分かり易く、口ずさみたくなる。また、流れるようなアレンジで浮遊感が良く演出されている。

 

この「アテンションプリーズ」はオリコン最高62位に留まったが、豪華な楽曲提供陣からしてもっと上位を狙えた気がする。だが、能瀬慶子は、あまり歌が上手くない上に、歌詞の棒読みのような歌い方(笑)…能瀬慶子にとって、楽曲が良すぎて操縦困難な曲だったか??(笑)

 

能瀬慶子は、「アテンションプリーズ」を含めて、「裸足でヤング ラブ 」「He Is コットン100%」「美少女時代 」の4曲しかシングルをリリースしておらず、アイドル歌手としての活動期間は1年にも満たない。だが、自分にとっては、何故か今も強く印象に残っている、記憶に残るアイドル。

 

なお、デビューから約10年後の能瀬慶子の動画を見てビックリ!!

これが能瀬慶子か?と思うほど、美人に変貌していた(笑)

デビュー当時がこれ ↓


能瀬慶子「アテンションプリーズ」

約10年後がこれ ↓


能瀬慶子「アテンションプリーズ②」

 

〜最後に愛は勝つ!?〜失恋魔術師/太田裕美(1978年3月)

f:id:YOSHI88:20190720105144j:plain

78年3月21日に発売された太田裕美の11枚目のシングル。

 

デビューシングル「雨だれ」(74年11月発売)から、4枚目の大ヒット曲「木綿のハンカチーフ」(75年12月発売)を含めて10枚目シングルまで、作詞松本隆・作曲筒美京平のコンビが続いたが、このシングルで初めて筒美京平以外の吉田拓郎が作曲を担当。

 

この曲は、主人公の女性が彼と待ち合わせた郊外の珈琲ハウスまでバスで向かう道中、「失恋魔術師」なる不可思議な人物に付き纏われながらも、なんとか彼と珈琲ハウスで落ち合うストーリー。

 

木綿のハンカチーフ」と同様に、対話形式の物語風展開となっている。「木綿のハンカチーフ」は、恋人同士の対話形式だが、この曲は、失恋魔術師と彼女との対話形式である点で、「木綿のハンカチーフ」の変形バージョンとでも言えようか。

 

しかし、都会の「珈琲ショップ」ではなく、郊外の「珈琲ハウス」へバスで向かう場面設定や、失恋魔術師なる厄病神のようなキャラクター設定はなかなかユニーク!!流石は松本隆である。

作詞:松本隆

作曲:吉田拓郎

編曲:萩田光雄

「(1)バスは今 ひまわり畑を 横切って あなたの街へ

隣から だぶだぶ背広の 知らぬ人 声かけるのよ

お嬢さん 何処ゆくんだね 待ち人は来やしないのに

いえいえ 聞こえぬ振りをして 知らん顔して 無視してるのよ

その人の名は アー失恋魔術師 失恋魔術師

 

(2)バスを降り 夕映えの町 人波に 足を速める

追いてくる 足なが伯父さん ステッキを 招くよに振る

お嬢さん 逃げても無駄さ 不幸とは 追うものだから

いえいえ 後を向いちゃだめ 恋を失くすと 見かけるという

その人の名は アー失恋魔術師 失恋魔術師

 

(3)こみあった 珈琲ハウスに こわごわとあなたを探す

空の椅子 西陽が射す中 さよならを物語っている

お嬢さん 言ったじゃないか 愛なんて虚ろな夢さ

いえいえ 電車の遅れだわ あっちへ行って そばに来ないで

その人の名は アー失恋魔術師 失恋魔術師

 

(4)遅れたね ごめんごめんと 息をつき駆け寄るあなた

お嬢さん 私の負けさ また今度迎えに来るよ

いえいえ 死ぬまで逢わないわ おあいにくさま 恋は続くの

早く消えてね アー失恋魔術師 失恋魔術師」

 

歌詞は、「木綿のハンカチーフ」と同様、4番まであり、かなり長めである。

 

「何処ゆくんだね 待ち人は来やしないのに」

「逃げても無駄さ 不幸とは 追うものだから」

「言ったじゃないか 愛なんて虚ろな夢さ」

 

こんな悪魔のささやきのような歌詞にはメロディーを聴いていかにも吉田拓郎と分かるちょっと癖のある拓郎節が良く似合う。そう言えば、キャンディーズの「やさしい悪魔」も吉田拓郎の作曲だったな。。。

 

正統派の筒美京平作曲の木綿のハンカチーフには男女間の遠距離恋愛物語、ちょっと癖のある吉田拓郎にはユニークな失恋魔術物語、どちらも名作だが、木綿のハンカチーフとは違い、ハッピーエンドなところがホッとする。やはり、KANの曲のように「最後に愛は勝つ」と言うことか(笑)

 


太田裕美「失恋魔術師」