YOSHIの青春歌謡曲!!

〜青春時代に聴いた宝物の再発見〜

~爽やかな目覚めのメロディーに隠された深くて重い歌詞の意味~きみの朝/岸田智史(1979年3月)

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1979年(昭和54年)3月21日にリリースされ、TBS系のテレビドラマ『愛と喝采と』の挿入歌とされた岸田智史(現・岸田敏志)の8枚目のシングル。

作詞は、このドラマの脚本を手掛けた岡本克己の弟で、『旅の宿』や『襟裳岬』の歌詞で知られる岡本おさみ、作曲は岸田智史本人。

 当時、木曜午後9時の『ザ・ベストテン』の後、午後10時からこのドラマが放送されていた。このドラマに新人歌手の武井吾郎役として出演していたのが岸田。ドラマでは、武井吾郎が『ザ・ベストテン』で注目曲を紹介する人気コーナー『今週のスポットライト』に出演して『きみの朝(ドラマでは「モーニング」のタイトル)』を歌い、ヒットするというシナリオになっていた。岸田智史は、このシナリオ通りに実際に『今週のスポットライト』に出て『きみの朝』を歌い、オリコンチャート1位を獲得して大ヒットになるという、嘘のように出来過ぎたサクセスストーリーを実現する!

 長髪でギターという、いかにもフォーク歌手といった岸田の雰囲気もあってか、当時、『神田川』のような4畳半フォークの世界観でこの曲を聴いていた。

「横たわるきみの顔に 朝の光が射している」の歌い出しから、

同棲している狭い部屋の窓から朝の明るい日差しが差し込んで優しく彼女の寝顔を包み込んでいるが、疲れて熟睡している彼女の寝顔を横で彼が眺めている、そんな微笑ましい日常生活の一コマを取り上げた曲…

作編曲家大村雅朗による、優しく美しいピアノの旋律によるモーニングコールのようなイントロ…

爽やかなルックスの岸田智史自身の作曲による爽やかな朝の目覚めを歌った曲…

ずっと、そんな曲だとばかり思っていた。

 

作詞:岡本おさみ

作曲:岸田智史

編曲:大村雅朗

「横たわるきみの顔に 朝の光が射している

過去の重さを洗おうとして たどりついた深い眠りよ

別れようとする魂と 出会おうとする魂と

あゝ心より躯のほうが 確かめられるというのか

 ※モーニング モーニング きみの朝だよ

モーニング モーニング きみの朝だよ※

 

急ぎ足 ふととめて ふりかえれば夕焼けが

この先いくら生きて行くのか こんな暮し 仮の姿と

生まれようとする魂と 老いぼれてゆく魂と

あゝ人間のはしくれに 生まれてきたというのに

(※くり返し)

 

群衆をのみこんだ 都会の悲しみの渦の中に

コーヒー一杯分のやさしさを そそぎこむ ぼくの唄よ

かわろうとする魂と よどんでしまう魂と

あゝ躯じゅう輝きながら 旅立ってゆけ朝に

(※くり返し×2)」

 

改めて、歌詞を見ていると、ある事が気になった。不思議な事に『きみの朝』という曲なのに、出だしの「深い眠り」の部分以外に、彼女と思われる人物の行動の描写が出てこないのである。

あとは、互いに相反する方向を向いている非日常的な魂の描写と、サビの「モーニング」の繰り返し…

ここで、ハッと気が付いた。彼女の「深い眠り」とは、もう二度と目覚める事のない眠りではないかと!!思わず、全身に戦慄が走った。

『きみの朝』は、朝の病院で、彼女を看取る歌では無かったのか!?

 

こう解釈すると、1,2番では彼女が生死を彷徨っている状態、3番では永遠の眠りにつき都会全体が悲しみに包まれる中、彼女の魂が天界へと飛翔していく状況を描写していると思えなくもない。なんだか、爽やかで美しかったイントロが悲しいレクイエムの様に聞こえ、サビの「モーニング」の連呼がお経の様に聞こえてきた。

 『きみの朝』の歌詞は、人それぞれ色々な解釈があって良いと思う。

このような深い味わいのある『きみの朝』は、正に70年代最後の名曲であり、発売当時の歌番組やドラマから40年以上にわたってずっと聴く事が出来た事を幸せに思う。

 


きみの朝 岸田智史 (1979年)