1977年4月、16歳のときに、渡辺プロダクションから「6年たったら」でアイドル歌手としてデビュー(発売元は東芝EMI)。同期デビューには、女性では榊原郁恵、高田みづえ、香坂みゆき、ビューティペア、男性では渋谷鉄平、太川陽介、狩人、清水健太郎・・・ ライバルもとても多かった。
デビュー当時は、都倉俊一司会の『レッツゴーヤング』(NHK)で「サンデーズ」のメンバーや、高島忠夫司会の『クイズ・ドレミファドン!』のアシスタントとなったのを始め、人気番組『ぎんざNOW!』『TVジョッキー』など様々なテレビ番組に出演し、爽やかな笑顔でお茶の間にもたちまち人気が浸透していったことを記憶している。
「6年たったら」の作詞は、結婚直後のユーミン(松任谷由実)、作曲は筒美京平という、デビュー曲としては普通考えられない超豪華な組合せ。この楽曲提供陣からも、デビュー時の期待の大きさが伺える。
なお、当時、松任谷由実による五十嵐夕紀へのメッセージが以下の様に記されている。 ''スイートなルックスの中に健康的なすがすがしさを感じます。 笑顔がくったくなくかわいらしくて のびのびと成長してきたみたいですね。 6年たったら自分が心から気に入った歌を一生懸命歌っている様な 歌手になってほしいと思います。''(東芝EMI/邦楽宣伝部歌謡グループより出版された宣伝用ポートレートの引用)
サビの♫6年たったら~6年たったら~わたしどうなるかしら♫のフレーズが口ずさみ易く、ずっと印象的に残っていたが、サビ以外は全く記憶になかった。今回、何十年振りかで通して聴いてみたが、流石はユーミン、春らしく彼女にぴったりの爽やかなイメージに仕上げていて、とても新鮮。また、歌もアイドルらしく甘い声質で、思った以上に巧い。
作詞:松任谷由実
作曲:筒美京平
「ウエディングドレスの特集なんてつまらない
キャリアウーマンという言葉もまるでピンとこないけど
あなたを待つ間 ひざしのベンチで
雑誌を読んでたら隣に腰かけた女の人のコロンが
なぜかなぜか気になったのよ
6年たったら 6年たったら
わたしどうなるかしら
あなたと一緒に変わっていけたら
それがそれがいちばんうれしいのに」
当時の彼女の知名度から、オリコンで30位程度のスマッシュヒットだったかなと思って調べてみると、意外にも最高位120位と奮わず。その後、1981年までの4年間に計8曲シングルを出している。3rdシングル「第一印象」(作詞松本隆、作曲川口真)、4thシングル「えとらんぜ」(作詞松本隆、作曲吉田拓郎)、5thシングル「ワル!(泣くのはおよし)」(作詞松本隆、作曲都倉俊一)、6thシングル「恋人たちの季節」(作詞三浦徳子、作曲都倉俊一)はかなりの名曲。しかし、売り出し方に方向性が見えなかったのか、いずれも、オリコン100位にもチャートインしていない。そして、8thシングル「ホットリップス」では、禁断(?)のお色気路線に転じてしまう。さらに、デビューから7年後の1984年には、とうとう、日活ロマンポルノに出演し、アダルト路線に大転身!
流石の ユーミンも、デビュー作詞提供の7年後に、五十嵐夕紀がアダルトに転身するとは想定外だったろう。
同じく筒美京平がデビュー曲を手掛けた岩崎宏美の場合、阿久悠がデビューから3年間ずっと作詞を担当し、岩崎宏美の少女から大人への成長に合わせて歌詞をプロデュースした。
ナベプロ発の正統派アイドルとしての期待されていた五十嵐夕紀も、阿久悠のような司令塔とともに、少女から大人へと変わっていけたら一番嬉しかったのではなかろうか?